こんにちは。
今回はフードテックやアグリテックに関心のある方に向けて、気になるニュースをピックアップしました。
1.天気予報会社が「ビジネス予測」を始めた?
2025年6月、ウェザーニューズ社が発表した新技術が話題を呼んでいます。
これまで数日~1週間先の天気予報に特化していた同社が、今回はなんと「2年先」の農業生産量や消費需要の変動まで予測可能なシステムを開発したのです。
2.フードテック視点で見ると…これは革命!
このAIは、以下の要素を統合して予測を行います:
・気象データ(気温、降水量、日射量など)
・農業統計や需給データ
・国際貿易・経済変動
・地政学的リスク(紛争、輸出規制など)
これらをもとに、たとえば以下のような予測が可能になるといいます:
・来年の小麦価格は上がるか?
・2年後の南米産大豆の収量はどうなるか?
・気候変動が特定作物に与える影響は?
これらの情報は、食品メーカー、商社、物流、さらには代替肉企業や垂直農業ベンチャーにとって極めて重要です。
3.ウェザーニューズのAI技術は「実績あり」
なお、ウェザーニューズは今回の長期予測AIに先立ち、AI技術を活用した特許の取得実績もあります。
例えば、特許第6901647号(令和3年6月登録)は、霧や靄(もや)等の視界不良時において、画像処理・機械学習・幾何学的推定を組み合わせることで、高精度な視程(見通し距離)を推定する技術を提供します。
出典1:特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6901647/15/ja
この特許技術により、交通規制、航空管制、災害対策などの現場で、リアルタイムな視界情報の提供が可能となり、安全性や対応力の向上に貢献しています。このように、同社のAI活用には技術的な裏付けと実績があり、今回の長期ビジネス予測AIも信頼性の高いプロジェクトといえるでしょう。
4.なぜ特許×フードテック文脈で注目すべきなのか?
この種の「AIによる予測モデル」は、知財化が難しい面もありますが、
・独自の学習アルゴリズム
・訓練データの構成
・出力の処理方法
等の技術的特徴があれば、ビジネスモデル特許やAI特許として保護される余地があります。
また、これを活用して独自の食品在庫最適化モデルを構築する企業が出てくれば、それこそ「特許戦略+フードテック戦略の融合」という未来型の取り組みになります。
5.おわりに:気候リスクを「予測」から「設計」へ
ウェザーニューズのような企業が提供する予測AIによって、私たちは「設計するフードチェーン」へと進化できるかもしれません。これからも、特許やテクノロジーの視点から、フードテックの未来を追っていきます。
出典2:ウェザーニューズのリリース記事 「2年先までのビジネス影響をAIでダイレクトに予測する日本初の長期予報技術」
https://jp.weathernews.com/news/52798/