暑い日に買ったばかりのアイスがすぐに溶けちゃう…そんな経験ありませんか?
最近は、「溶けにくいアイス」が話題になっていて、実は食品研究の世界だけでなく、家庭でもちょっとした工夫で似たようなアイスが作れるんです。
今回は、溶けにくさを生み出す素材や仕組みをわかりやすく紹介しつつ、「おうちで気軽に試せるヒント」もお届けします。
1.そもそも「溶けにくいアイス」とは?
普通のアイスは、温度が上がると氷が溶けて乳脂肪や水分が分離してしまいます。
一方で「溶けにくいアイス」は、素材や作り方の工夫で形が崩れにくいのが特徴です。
使用されている代表的な素材は次の通りです:
・葛粉(くずこ)
・寒天
・イチゴポリフェノール(いちご濃縮液)
・おから・米粉などの食物繊維
いずれも自然由来の成分であり、身近な素材を活用している点が特徴です。
2.主な素材とその役割
2-1.葛粉(くずこ)
奈良で人気の「葛バー」に代表されるように、ぷるぷるの食感で崩れにくいのが特徴。
家庭でも簡単に再現できて、加熱してとろみをつけてから冷やすだけで、半透明のもっちりアイスキャンディが作れます。
出典1 詳しい作り方はこちら:天極堂HP
https://www.kudzu.co.jp/cp-bin/wordpress5/recipe/20180905kudzufruitscandyrecipe/
参考:デンプンの違い(簡単比較表)
素材 | 特徴(かたさ・粘り) | 冷やした後のようす | アイスに向いてる? | ポイント |
---|---|---|---|---|
葛粉(本葛) | ぷるぷる・もっちり | 崩れにくくしなやか | ◎ とても向いている | 水分をしっかり抱えて保形力が高い |
コーンスターチ | サラッと・とろみ程度 | ボロッと崩れやすい | △ あまり向かない | 安価で使いやすいが、冷えると脆い |
片栗粉(じゃがいも) | やや強めの粘り | 少し崩れにくい | ◯ まあまあ使える | 加熱で透明になるが、粉っぽさ残ることも |
タピオカ粉 | もちもち・弾力が強い | 弾力ありすぎて硬くなることも | △ 工夫すれば使える | グミっぽい食感になりやすい |
2-2.寒天
海藻から作られる寒天は、なんと70℃近くまで溶けにくいという特徴があります。
ゼリーのような食感になりますが、果汁や牛乳と合わせると「シャーベット風なのに崩れにくい」冷菓が作れます。
出典2 詳しい作り方はこちら:株式会社 明治HP
https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/homework/experiment/icecream2/
2-3.イチゴポリフェノール
金沢大学などの研究では、イチゴに含まれるポリフェノール成分が、脂肪と水をつなぎ止め、アイスの崩れを防ぐことがわかっています(出典3を参照)。商品化された例として「金座和アイス」などがあります。
家庭では、いちごジャムやいちごソースを加えるだけでも、似たような効果が期待できるかもしれません。
出典3:特許情報プラットフォーム 特許5603088
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5603088/15/ja
特許解説:アイスクリーム等の氷菓子を室温で長時間放置しても溶けにくくする技術として、従来はゼラチンやペクチンを用いていました。しかしこの手法では風味や口どけが損なわれる課題がありました。
本特許では、イチゴ濃縮果汁に含まれるイチゴポリフェノール(の界面活性作用)、(イチゴ由来の)ペクチン、オリゴ糖、クエン酸を活用することで、食味を保ったまま優れた保形性と保存性を実現することに成功しました。
2-4.おから・米粉
植物性の食物繊維は、水分を包み込んで安定化する効果があり、特におからや米粉は、日本の研究機関でも活用されています。こちらも加熱・冷却工程を経ることで、溶けにくく滑らかなアイス風冷菓を作ることが可能です。
3.海外でも進む「No-Melt Ice Cream」の研究
アメリカ・ウィスコンシン大学などでは、ブルーベリーや緑茶由来のポリフェノールを使い、4時間以上常温でも形状が崩れないアイスの開発が進んでいます。
出典4:アメリカ・ウィスコンシン大学HP
http://Bringing delight by investigating a no-melt ice cream
こうした技術はまだ一般家庭向けとはいえませんが、近い将来「溶けないアイス」がごく普通になる可能性もありそうです。
4.家庭での実験にもオススメな理由
溶けにくいアイスは、次のような点から、家庭での手作りにも適しています:
・小さな子どもでもゆっくり食べられる
・高齢者や介護食としても活用できる
・食品科学の入門教材としても面白い!
材料や作り方を少し工夫するだけで、「ちょっと理系な冷菓体験」が楽しめます。
5.まとめ:夏休みの自由研究にも
「冷たいのに、すぐには溶けない」――そんなちょっと不思議なアイスが、家庭でも作れるかもしれません。
完全な再現は難しくとも、葛粉・寒天・ジャム・おからといった身近な素材を使って、家庭で“半プロ級”のぷるぷるアイスに挑戦してみてはいかがでしょうか?
夏休みの自由研究にもぴったりですし、手作りならではの楽しみも味わえます。冷蔵庫を開けるのが楽しみになる、そんな夏のひとときになるかもしれません。