【夏の食中毒を防ぐ】家庭でできるやさしい予防ガイド

はじめに
夏の暑い季節は、海や山へのレジャー、バーベキューやお祭りの屋台など、食事を楽しむ機会が増えますよね。そんなときに気をつけたいのが「食中毒」です。厚生労働省の統計によると、食中毒は毎年6月から9月にかけて特に多発し、この時期は注意喚起が強化されています。

食中毒は「誰にでも起こり得る身近なトラブル」ですが、基本的な予防策を知っておくだけで多くの場合は防ぐことができます。今回は厚生労働省・農林水産省・政府広報の公式情報を参考に、家庭で実践できる予防ポイントを分かりやすくご紹介します。

1.夏に多い食中毒の種類と原因
夏場は特に「細菌性食中毒」に注意が必要です。その代表的なものを見てみましょう。

細菌性食中毒(夏に多い!)
カンピロバクター:主に鶏肉が原因。加熱不足で感染しやすく、少量でも発症します。
サルモネラ菌:卵や鶏肉が代表例。生焼けや二次汚染に注意。
腸管出血性大腸菌(O157など):生肉や野菜にも潜み、重症化のリスクあり。
黄色ブドウ球菌:人の手や傷口に存在。おにぎりなど素手で作る食品に付着しやすく、毒素は加熱しても壊れません。
ウェルシュ菌:カレーや煮込み料理に多い。調理後に常温で放置すると増殖します。

ウイルス性食中毒(冬に多いが油断禁物)
ノロウイルスが代表的。食品内では増えませんが、手や調理器具を介して感染します。夏でも集団感染が起こることがあります。

その他の原因
寄生虫(アニサキスなど):生魚を食べるときに注意。
自然毒(フグ、毒キノコ、貝毒など):家庭では少ないものの、誤食による事故が毎年報告されています。

2.食中毒予防の「三原則」とは?
厚生労働省は、家庭での食中毒予防を「つけない・増やさない・やっつける」という3つの原則で呼びかけています。とてもシンプルですが、実践することで大きな効果があります。

2-1.つけない(菌を食品に付けない)
・調理の前後には必ず石けんで手を洗う
・生肉や生魚を切ったまな板・包丁はすぐに洗浄・消毒
・生の食材と加熱済み食材で器具を分ける

2-2.増やさない(菌を増殖させない)
・食材は購入後すぐに冷蔵庫や冷凍庫へ
・冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫は−15℃以下が目安
・冷蔵庫に詰め込みすぎない(冷気が回らなくなります)

2-3.やっつける(菌を死滅させる)
・肉や魚は中心部までしっかり加熱(75℃以上で1分以上が目安)
・特に鶏肉やひき肉は要注意
・温め直すときは、電子レンジだけでなく全体をまんべんなく加熱する

※ウイルス性食中毒はさらに「持ち込まない・広げない」も大切。調理者の体調管理や調理場の消毒も忘れずに。

3.夏に気をつけたいシチュエーション別対策
生活の場面ごとに、食中毒を防ぐコツを見ていきましょう。

(1)買い物のとき
・消費期限・賞味期限を必ずチェックしましょう
・肉や魚は一番最後に購入し、持ち帰り時間を短くする
・氷や保冷バッグを活用して温度上昇を防ぐ

(2)保存のとき
・帰宅後はすぐ冷蔵庫へ
・肉や魚は汁が他の食品に触れないように袋や容器に入れる
・冷蔵庫の詰め込みすぎに注意

(3)調理のとき
・手洗いを徹底する
・生肉を切った包丁で野菜を切らない(二次汚染の防止)
・解凍は常温ではなく、冷蔵庫や電子レンジで行う

(4)食事のとき
・調理した料理は室温に放置せず、なるべく早めに食べる
・夏の弁当は保冷剤と一緒に持ち歩くと安心
・手指や食器の清潔を保つ

(5)残り物の扱い
・保存前に必ず手を洗う
・清潔な容器に小分けして冷蔵保存
・食べるときは十分に再加熱(中心部までしっかり)

4.もし食中毒になってしまったら?
万が一、食中毒を疑う症状が出たら次の点に注意してください。

安静と水分補給:下痢や嘔吐で脱水しやすいため、経口補水液やスポーツドリンクで水分と電解質を補いましょう。
下痢止めは自己判断で使わない:原因菌を排出できなくなり、かえって悪化する可能性があります。
受診が必要な症状:血便、高熱(38.5℃以上)、強い腹痛、意識がもうろうとする場合、乳幼児や高齢者の発症。

5.夏を安心して楽しむために
食中毒予防の基本はとてもシンプルです。
・手を清潔にする
・食材を正しく保存する
・中心部までしっかり加熱する
・すぐに食べて、余ったら早めに冷蔵・再加熱
これだけでリスクを大幅に減らすことができます。さらに、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を取り入れると腸内環境が整い、夏バテ防止にも役立ちます。栄養バランスの良い食事と合わせて、暑い夏を元気に乗り切りましょう。

6.おわりに
夏はイベントや楽しい食事の機会がいっぱいですが、ちょっとした工夫で食中毒のリスクをぐっと減らせます。「つけない・増やさない・やっつける」を合言葉に、家族や友人と安心して夏の味覚を楽しんでください。

出典1:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/article/20110602/entry-8196.html
出典2:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html
出典3:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp1.html

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

takahashi(高橋)と申します。弁理士として12年以上、特許出願・FTO調査・無効資料調査など、累計2,000件以上の案件を担当。化学・バイオ分野を中心に、国内外の知財戦略をサポートしています。

食品・知財・投資の交差点から現場の知見を発信中。記事へのご質問や国内特許・海外特許のご相談は、お問合せフォームよりお気軽にどうぞ。

目次