【未来の食卓】3Dフードプリンターが変える「健康食品」のかたちとは?

近年、3Dプリンターを使って食べ物を作る「3Dフードプリンティング」が注目を集めていますが、ただ面白い形の料理を作るだけではありません。なんと、健康に良い「機能性食品」も3Dプリントできる時代が近づいています。

2025年6月に発表された最新のレビュー論文(ScienceDirect掲載)では、3Dフードプリンティング技術が機能性成分(抗酸化物質など)を効率よく食品に組み込む方法として期待されていることが詳しく紹介されていました。

出典1:ScienceDirect, “3D Food Printing Technologies for Functional Foods: Applications and Antioxidant Integration”
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2949824425001983

1.そもそも「機能性食品」って?
「機能性食品」とは、単に栄養を補うだけでなく、健康の維持や病気の予防に役立つ成分(例えば、ポリフェノール、ビタミン、プロバイオティクスなど)を含む食品のことを指します。

※参考:「機能性表示食品」とは?
「機能性表示食品」は、ある食品が「おなかの調子を整える」「疲労感を軽減する」など、健康に関する機能を商品パッケージなどに表示できる制度(=機能性表示食品制度)のもとで販売される食品のことです。

例えば、ブルーベリーに含まれるアントシアニンは目の健康に良いとされています。このような健康効果が期待される食品全般が「機能性食品」に該当します。

一方で、そのアントシアニンを含むブルーベリー入りのサプリメントに、「目の疲労感を軽減します」と国の制度に基づいて機能を表示して販売しているものが「機能性表示食品」です。

つまり、「機能性表示食品」は、「機能性食品」の中でも、科学的根拠に基づき、一定のルールに従って機能を表示している食品のことを指し、「機能性食品」よりも狭い概念といえます。

出典2:消費者庁HP
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims

そして、こうした機能性食品に含まれる有効成分は熱や酸化、pH変化に弱く、調理中に効果が失われがちです。

2.3Dフードプリンターの強みとは?
今回の論文によると、3Dプリンターで食品を作ることで、以下のようなメリットが得られます:
成分の配置を精密にコントロールできる
 → たとえば、抗酸化物質を熱の影響を受けにくい場所に配置可能。
印刷条件(温度・圧力など)を調整できる
 → 成分の分解を防ぎながら調理できる。
見た目や食感を自由にデザインできる
 → 高齢者向けのやわらかい食事や、子ども向けの楽しい見た目の健康食品も。

3.実際にどんな食品が作れるの?
論文では、例えば以下のような応用例が紹介されています:
・抗酸化物質を豊富に含んだスナック菓子
・特定の栄養を強化した朝食プレート
・食べる人の健康状態に応じてカスタマイズされた食事(パーソナライズド栄養)

4.今後の展望
3Dフードプリンティングは、まだまだ研究段階ではありますが、パーソナライズされた健康食品の製造手段として非常に有望です。病院や高齢者施設、スポーツ選手の食事管理、そして将来的には宇宙食などでも活躍が期待されています。

5.未来の食と投資:注目される関連ETF
3Dフードプリンティングのような先端技術は、研究分野だけでなく投資の世界でも注目されています。特に、機能性食品やバイオテクノロジー、アグリテック(農業技術)に関連するETF(上場投資信託)は、将来の「食の進化」に賭ける方法の一つとして有望です。

注目のETF例:

  • ARK Genomic Revolution ETF(ARKG)
     遺伝子治療や再生医療に加えて、培養肉やフードテックといった分野にも積極投資しているETF。食品機能を科学で解明・制御する企業が含まれます。
  • Global X AgTech & Food Innovation ETF(KROP)
     農業テック・食品イノベーション特化型。3Dフードプリンティングや代替タンパク質、スマート農業など食の未来を支える企業群が投資対象です。

3Dフードプリンティング自体に特化したETFはまだ存在しませんが、これらのETFは関連分野を幅広くカバーしており、間接的に未来の食技術に投資する手段として活用できます。

3Dフードプリンティングに関連するETFの詳細は、以下のリンクからご覧いただけます:

🔗 ARK Genomic Revolution ETF(ARKG)の情報を見る
🔗 Global X AgTech & Food Innovation ETF(KROP)の情報を見る

6.おわりに
今回紹介したように、3Dフードプリンターは単なるガジェットではなく、「健康」や「食の未来」を支える革新的な技術になりつつあります。機能性食品×テクノロジーの世界、今後も注目です!

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身で行ってください。また、本記事の内容によって生じたいかなる損失についても、当サイトでは一切の責任を負いかねます。

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この記事を書いた人

はじめまして。takahashi(高橋)と申します。
弁理士として12年以上、知的財産の実務に携わってきました。これまでに、特許出願・中間対応・FTO調査・無効資料調査など、累計2,000件以上の案件を担当しています。

中でも、化学・バイオ分野の特許を中心に、多くのご依頼をいただいております。
これまで、国内の食品素材メーカーおよび都内中堅の特許事務所に勤務し、現在は弁理士法人の代表として、国内外のお客様の知財戦略を日々サポートしています。

趣味は散歩と弓道。心身のバランスを整える大切な時間です。

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