江崎グリコが“老化細胞を取り除く素材”としてネムノキの効果を実証し、国内初の特許を取得
こんにちは。
「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を掲げる江崎グリコ株式会社が、老化の鍵を握る細胞に注目した研究成果を発表しました。なんと、ネムノキという植物が老化細胞を取り除く(=セノリシス)働きを持つことを実証し、その技術が国内で初めて特許化されたのです。
ポイントまとめ
・研究素材数:約6,000種類(食品適合性のある成分の中から選定)
・有効素材:ネムノキ(Albizia julibrissin)
・効果:老化細胞を選択的に除去(セノリシス)
・特許番号:特許第7659690号(2025年取得)
・日本で初めて、ネムノキによる老化細胞除去の特許が成立
特許技術の内容とは?
江崎グリコは、社内に保有する素材ライブラリーから食品向けに適した約6,000種の素材をスクリーニング。その中で、ネムノキの抽出物に老化細胞を除去する作用があることを突き止めました。
この「老化細胞の除去=セノリシス」に関する作用メカニズムについては今後さらに研究が進められるとのことですが、今回の特許(特許第7659690号)は、ネムノキの機能性成分によって老化細胞を選択的に排除できるという点で新規性・進歩性が認められた画期的なものです。
「老化細胞」ってなに?
老化細胞とは、加齢や紫外線、活性酸素の影響でDNAが損傷し、分裂できなくなった細胞のこと。炎症性物質を分泌し、周囲の細胞にも悪影響を与える“トラブルメーカー”です。通常は体内の仕組みにより除去されますが、年齢とともにその力が弱まり、蓄積してしまうことが健康リスクになるとされています。
ネムノキってどんな植物?
ネムノキ(合歓の木)は、日本やイランなどアジア各地に分布するマメ科の高木。夜になると葉が閉じる「就眠運動」で知られています。花や樹皮は古来よりお茶や漢方として利用されてきた、伝統的な植物素材でもあります。
今後の展開に期待
Glicoグループは中長期の経営戦略において「ヘルシーエイジング(健康的な加齢)」を重点分野のひとつに据えており、今回の発見は今後のサプリメントや機能性食品の開発にもつながる可能性があります。
今後は、ヒトへの臨床的な効果検証などさらなる研究が進められる予定。ネムノキが「食べて老化を遅らせる」時代の鍵を握る素材になるかもしれません。
筆者のひとこと
食品企業がここまで本格的な細胞研究・特許取得を進めていることに驚きました。特に、食品由来の成分で“老化の根本”にアプローチできるかもしれないという点は、ヘルスケア業界にとっても大きなインパクトです。今後、Glico発の機能性食品がどのように市場に出てくるのか、引き続き注目していきたいと思います。
出典1:日経プレスリリース https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP690473_Q5A430C2000000/
出典2:特許情報プラットフォーム https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7659690/15/ja