こんにちは。農林水産省は2023年度における食品ロスの推計値を発表しました。統計開始以来、最少となる464万トンとなったこの結果には、AIによる需要予測などの新たな取り組みが大きく寄与しています。本記事では、今回の発表内容とともに、背景にある社会的な取り組みや今後の展望について解説します。
1.食品ロス、過去最少に(2023年度)
農林水産省の発表によれば、2023年度の食品ロスは以下の通りです:
項目 | 数値 | 前年度比 |
---|---|---|
総食品ロス | 464万トン | ▲8万トン |
事業系ロス(企業等) | 231万トン | ▲5万トン |
家庭系ロス | 233万トン | ▲3万トン |
これは、2000年度の約半分(58%減)にあたる水準です。
2.背景にはAI需要予測の導入
この「過去最少」の結果の裏には、技術革新の力があります。中でも注目されるのが、AIによる需要予測の精緻化です。
農水省が公開している導入事例によると:
・寄せ豆腐の廃棄率が30%削減
・冷やし中華つゆの在庫が20%削減
など、気象データ+POSデータをAIが解析することで、製造・物流・販売の各段階での無駄を削減しています。
AI技術の進展により、「勘と経験」に頼っていた発注・製造が、より合理的で無駄のないものに進化しているのです。
3.制度的な後押しも
2025年3月には「食品リサイクル法」基本方針の改定も行われ、2030年度までに「2000年度比で事業系食品ロスを60%削減する」ことが新たな目標として掲げられました。制度と技術の両輪で、食品ロス削減が本格化していることが分かります。
4.今後の展望と課題
今回の削減は歓迎すべき成果ですが、まだ食品ロスは年間464万トンも存在します。
今後の課題としては:
・AI予測のさらなる普及(中小企業・地方含む)
・フードバンク等の社会的流通の拡大
・消費者への賞味期限に関する啓発
など、社会全体での協調的な取り組みが求められます。
5.まとめ
食品ロス削減という長年の課題に対し、AIという新しい力が本格的に成果を上げ始めています。
政府の発表にも裏付けられた「過去最少」という数字は、技術と制度、そして社会の意識がかみ合った結果といえるでしょう。引き続き、このような取り組みの進展をウォッチしていきたいと思います。
出典1:農林水産省プレスリリース(2025年6月27日)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/250627.html
出典2:食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢(PDF)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaishoku_shokubunka/attach/pdf/index-442.pdf