スーパーの商品開発に AI が登場! ― 日本ハムが取り入れた「疑似消費者」とは?

「新商品って、どうやって決まるの?」
スーパーで並ぶ新しい食品を手に取りながら、ふとそう思ったことはありませんか?
実は今、食品業界では AI(人工知能)を使ったまったく新しい方法 が広がりつつあります。

その代表例が、日本ハムが導入した「疑似消費者(生成された顧客)」を活用した仕組みです。

1.従来のアンケートの課題
新商品の開発では、従来「アンケート調査」や「モニター試食」といった方法で消費者の声を集めてきました。
しかしこれには次のような課題があります。

  • 実施から分析までに数週間かかる
  • 大人数を対象にするほどコストがかさむ
  • 生活者の細かいニーズを拾いきれないこともある

「もっと速く、もっと正確にお客様の声を知りたい」――食品会社にとって長年の悩みでした。

2.AI が生み出した「疑似消費者」
そこで日本ハムが取り入れたのが、Azure OpenAI Service を使った「GC 分析(Generated-Customer 分析)」です。

これは、実際の生活者データをもとに AI が「疑似消費者の人格」を生成し、その消費者にアンケートに答えてもらう仕組み。

つまり、「本物の消費者の代わりに、AI がアンケートに答える」という発想です。

その結果――

  • 1,000 人分のアンケートを、わずか 45 分 で完了
  • 1 回あたりのコストは 100 円程度 に削減

という驚くべき効果をあげています。

3.主婦の皆さんにとってのメリット
私たち消費者にとってどんな意味があるのでしょうか?

  • アンケートに答えなくても、AI が代わりに“自分に近い消費者”として答えてくれる
  • 新商品がより早く、より自分の好みに合った形でスーパーに並ぶ
  • メーカーが無駄を減らせる分、価格や品揃えにも良い影響が期待できる

つまり、「もっと便利でおいしい商品が、もっと早く出てくる」 世界が少しずつ近づいているのです。

4.まとめ
AI が消費者の声を代弁する――一見 SF のような話ですが、すでに食品業界で実用化が始まっています。
知財の世界では「AI をどう活用し、どう守るか」が新しいテーマになり、
消費者の世界では「もっと自分に合った商品が生まれる」未来が期待できます。

次にスーパーで新商品を見かけたとき、
「これって AI が考える“私たちの声”から生まれたのかも?」
そう思いながら手に取ってみるのも面白いかもしれませんね。

出典:マイクロソフト公式HP
https://www.microsoft.com/ja-jp/customers/story/22479-nh-foods-azure-app-service

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この記事を書いた人

Yoshiharu Takahashi(高橋)と申します。都内特許事務所にて弁理士として12年以上活動し、特許出願、FTO調査、無効資料調査など、これまでに累計2,000件以上の案件を担当してきました。主に化学・バイオ分野を中心に、国内外の知財戦略を幅広くサポートしています。

弁理士業務のかたわら、「食品×知財×経済」の交差点から現場の知見を発信しています。記事に関するご質問や、国内外特許に関するご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。特許のご相談については、フォーム送信後、所属事務所より折り返しご連絡いたします。

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