埼玉県所沢市の食品開発企業・株式会社Re・Labが、「焼き芋を安定して“蜜芋”状態にする」独自製法で特許を出願しました( 特願2025‐152897)。今まで「焼き芋の甘さ・ねっとり感・蜜が滴るような食感(蜜感)」を均質にするのが難しかったところを、この新技術で解決を目指しています。
1.新技術のポイント
Re・Labが開発した「加圧高温仕上げ製法」は、いくつかの段階を経て完成します。
まず、低温でじっくり加熱し、さつまいものでんぷんを糖に変えることで甘みを引き出します。次に、高温高圧で仕上げることで、とろけるような食感を作り出しながら殺菌も同時に実現。最後に段階的に冷却することで、蜜が滴るようなねっとり感をそのまま閉じ込めます。
この工程を組み合わせることで、従来の焼き芋にはなかった「甘さの安定」と「蜜感の保持」が可能になったのです。
2.なぜこの技術が革新的なのか
最大の特徴は、品質のバラつきを抑えられる点です。従来の焼き芋は、品種やサイズによって仕上がりが大きく異なり、「蜜が出るかどうか」は運の要素もありました。しかしこの技術では、ほとんどのさつまいもを安定して蜜芋化できます。
さらに、常温保存にも対応できる点も注目です。冷凍や冷蔵を必要としないため物流の負担が軽くなり、ギフトや海外展開の可能性が一気に広がります。加えて、これまで規格外として扱われがちだった芋も商品化できるため、食品ロス削減にもつながります。
3.今後の展開
現在すでに「蜜る!限界突破芋」や「蜜る!焼きいも缶」といった商品が、郵便局のカタログギフトや一部店舗で販売されています。10月からは自社ECでの展開を拡大予定で、より多くの消費者に届けられる体制を整えています。
さらに、他素材への応用や共同開発、装置のライセンス提供なども視野に入れており、単なる焼き芋ビジネスにとどまらない広がりが期待されます。
4.課題と期待
もちろん、課題も存在します。設備投資や運用コスト、消費者が期待する「蜜の多さ」と実際の仕上がりとのギャップ、また常温保存の耐久性など、検証すべき点は多いでしょう。
それでも、この技術が普及すれば、焼き芋の新しいスタンダードを築く可能性があります。国内市場だけでなく、海外の甘味市場やギフト業界でも注目される存在になるはずです。
5.結びに
Re・Labの「加圧高温仕上げ製法」は、“焼き芋=ホクホク”という従来のイメージを刷新し、誰もが安定して“蜜芋体験”を楽しめる未来を描いています。秋の味覚として親しまれてきたさつまいもが、この技術によってさらに進化し、新しい食文化を生み出すかもしれません。
焼き芋ファンはもちろん、食品技術や地方創生に関心のある方にとっても要注目の取り組みといえるでしょう。
出典:PRタイムス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000167841.html
