水不足が食料価格を動かす?農業・水関連ETFで“世界の変化”に投資する方法

1. はじめに:地球規模の水不足と投資の接点
近年、異常気象や人口増加の影響で「水不足」が深刻な問題となっています。アメリカ西部の干ばつや、インドの水資源危機は記憶に新しいところでしょう。これらのニュースは遠い世界の話に思えるかもしれませんが、実は私たちの「食生活」、更には「投資先」にも大きな影響を与えています。

本記事では、食料と水資源の関係をわかりやすく解説しつつ、こうした社会課題に関連するETFを活用した投資手法をご紹介します。

2. 水不足がもたらす食料供給への影響
水は農業にとって必要不可欠な資源です。特に米、小麦、トウモロコシといった主要穀物は、大量の水を必要とします。

例えば、1kgの小麦を生産するには約1,800リットルの水が必要とされており、干ばつが続くと農家は十分な収穫ができず、供給不足から価格が上昇します。
アメリカ西部や中国内陸部、インド北部などの地域では、地下水の枯渇や河川の減少が進んでおり、長期的には世界の農業生産構造そのものに影響を与えると見られています。
このように、水不足は「供給サイド」から食料価格を押し上げる力を持っているのです。

なお、Investopediaの「Water ETFs: What They Are and How They Work」でも、水資源に関連するETFが、飲料水インフラだけでなく農業や工業用途とも密接に関わっていることが紹介されており、こうした視点からも食料価格への影響を理解するヒントになります。

出典1:Investopedia 「Water ETFs: What They Are and How They Work」
https://www.investopedia.com/water-etfs-how-they-work-8426968#:~:text=Water%20ETFs%20offer%20investors%20exposure,%2C%20liquidity%2C%20and%20underlying%20holdings.

3. 投資家が注目すべき「食料×水」関連テーマ
・インフレのヘッジとしての農業資産
食料価格が上昇すると、消費者物価指数(CPI)も上昇します。こうしたインフレに備える手段として、農業や水資源に関連する資産が注目されています。
・水資源インフラの必要性
古くなった上下水道設備や、水のリサイクル施設などへの投資も今後は増えると予測されています。民間企業の力が期待されており、上場企業の中にも関連銘柄が登場しています。
・ESG投資との親和性
水資源の保護や効率的な農業生産を目指す企業は、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価の観点からも高く評価されやすく、長期投資に適しています。

4. 関連ETFの紹介と注意点
以下に関連する海外ETFを示します。なお、海外ETFは為替リスクや経費率(信託報酬)に注意する必要があります。せっかくETFが上がっても、為替差損により損失が発生するリスクがあります。
・Invesco Water Resources ETF(PHO)
水処理技術、ポンプ、水質モニタリング企業などが対象のETFです。アメリカ国内の上下水道インフラや水質資源管理企業が中心となっています。
・Invesco DB Agriculture Fund(DBA)
農作物(小麦、大豆、コーンなど)の先物に投資用のETFです。価格変動が激しく、短期~中期向けかもしれません。

5. 日本の個別株について
日本の個別株には以下のような企業が間接的に水や農業に関わっています。
・クボタ(6326):農業機械や水インフラ事業
・住友化学(4005):農薬や肥料の製造

6. まとめ:水と食料は“未来志向型の投資テーマ”
水不足は今後さらに深刻化すると予測されており、農業や水インフラは長期的に重要な投資テーマです。コモディティ価格の変動を捉える短期的な投資も可能ですが、ESGやインフレ対策の観点から中長期での保有も有力な戦略です。

食料と水資源は「ディフェンシブでありながら成長性もある」数少ない分野のひとつ。世界の変化を冷静に見つめ、持続可能な社会と資産形成の両立を目指しましょう。

知的財産や技術開発の現場に身を置く者として、水不足という課題に直面するたび、人類の技術レベルで未だ解決できていない困難さに複雑な気持ちになることもあります。だからこそ、未来を見据えた投資やイノベーションが求められているのかもしれません。

出典2:Reuters 「Bridging the water finance gap as climate impacts bite」
https://www.reuters.com/sustainability/sustainable-finance-reporting/bridging-water-finance-gap-climate-impacts-bite-2025-01-07/?utm_source=chatgpt.com

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身で行ってください。また、本記事の内容によって生じたいかなる損失についても、当サイトでは一切の責任を負いかねます。


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この記事を書いた人

はじめまして。takahashi(高橋)と申します。
弁理士として12年以上、知的財産の実務に携わってきました。これまでに、特許出願・中間対応・FTO調査・無効資料調査など、累計2,000件以上の案件を担当しています。

中でも、化学・バイオ分野の特許を中心に、多くのご依頼をいただいております。
これまで、国内の食品素材メーカーおよび都内中堅の特許事務所に勤務し、現在は弁理士法人の代表として、国内外のお客様の知財戦略を日々サポートしています。

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