毎年秋に発表される「イグノーベル賞」。
「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られるこのユニークな賞は、まじめな科学研究の中でもユーモラスで意外性のあるものが選ばれます。
特許や技術に携わる私としても、イグノーベル賞はいつも興味深いニュース。
特に「食べ物」に関する研究は、生活に直結しているぶん面白さと実用性の両方を感じます。
そこで今回は 2025年に発表されたイグノーベル賞のうち、食べ物に関連する研究 をまとめてみました。
| 研究内容 | 受賞分野 | 主な発見・面白さ |
|---|---|---|
| 母親がニンニクを食べると母乳がニンニク風味になり、赤ちゃんがそれを好む(授乳時間が長くなるなど) | 小児科学賞 | 食べ物の匂いが母乳を通して伝わり、赤ちゃんの反応が変わることを実証。味覚発達に関する興味深いデータ。 |
| 「カチョ・エ・ペペ(cacio e pepe)」のソースがダマにならず、滑らかな乳化状態を保つ条件を解明 | 物理学賞 | 料理の失敗例を科学的に分析。材料や温度などを条件化し、台所の悩みにヒントを与える研究。 |
| トーゴのレインボー・リザードが「四種のチーズのピザ」を好むと判明 | 栄養賞 | 動物が人間の食文化にどう関わるかを観察。ピザを“盗む”行動の科学的記録。 |
| テフロン(PTFE)を食事に混ぜ、低カロリー充填物として満腹感を高める試み | 化学賞 | 一見突飛なアイデアだが、「満腹感」と「体重制御」という現実的課題に挑戦。実用化には規制上の壁も。 |
まとめ
今年の受賞作を振り返ると、笑いながらも「なるほど」と思える視点ばかりでした。
母乳にニンニクの香りが移る話は味覚発達の神秘を感じますし、パスタソースの乳化は台所の科学実験そのもの。ピザを選ぶトカゲには思わずクスッとさせられ、テフロンの満腹感実験はダイエット業界への挑戦状のようでもあります。
そして実は、過去のイグノーベル賞でも食に関する面白い研究がいくつも登場しています。
次回の後編では、その中から 2023年に受賞した「電気で塩味を強める箸とストロー」 を取り上げ、特許の視点から深掘りします。
出典1:Nature, “Tipsy bats and perfect pasta: Ig Nobels celebrate ‘improbable’ research”
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03045-0?utm_source=chatgpt.com
出典2:Chemical & Engineering News, “2025 Ig Nobel Prizes”
https://cen.acs.org/education/science-communication/2025-Ig-Nobel-Prizes/103/web/2025/09?utm_source=chatgpt.com
出典3:ABC, “Ig Nobel Prizes celebrate pizza-eating lizards, drunk bats and garlic-flavoured breast milk”
https://www.abc.net.au/news/science/2025-09-19/ig-nobel-prize-2025-awards-drunk-bats-garlic-breast-milk/105774506?utm_source=chatgpt.com

