日本の食卓にも届くか?卵代替の新しい選択肢 ― Mealaの「Groundbaker™」に注目

日本の家庭料理に欠かせない卵。卵かけご飯、親子丼、ふわふわのパンケーキやケーキ…。私たちの食卓に長く寄り添ってきた食材ですが、最近、世界では卵の代わりになる植物由来の「卵代替品」が注目を集めています。中でも、Meala FoodTechが開発したシングル成分の卵代替品「Groundbaker™」は、食品業界や研究者、そして環境問題を意識する人々の間で話題になっています

出典:Meala Launches Clean-Label, Single-Ingredient Egg Replacer
https://vegconomist.com/food-and-beverage/egg-alternatives/meala-clean-label-single-ingredient-egg-replacer/

Groundbaker™は、たった一つの成分で卵の役割を担うという点が特徴です。パンやケーキ作りで重要な「結着」「泡立ち」「乳化」「ゲル化」といった機能をカバーし、アレルギーリスクも低く、家庭でも業務用でも扱いやすい原料として設計されています。これにより、食品メーカーはレシピを大きく変えずに卵を置き換えることができるのです。

1.日本の家庭と食品業界における可能性
(1)アレルギー対応と子どもへの安心
日本では卵アレルギーを持つ子どもが一定数います。給食やベビーフードの分野では、安全に卵を避けたいという家庭の声が強く、Groundbaker™のようなアレルギーリスクの低い代替品は安心材料になります。主婦の方々にとっても、「家族に安心して出せる食品」は大きな魅力です。

(2)価格・供給の安定
卵は価格が安定している印象がありますが、鳥インフルエンザなどの影響で急な高騰や品薄が起こることもあります。特にパンや菓子を多く作る家庭や中小の食品メーカーにとっては、植物由来の卵代替品は価格や供給のリスクを減らす選択肢となります。

(3)プラントベースと環境への配慮
都市部を中心に、健康や環境への配慮から動物性食品を控える家庭も増えています。卵代替品は家族の健康を守りつつ、地球への負荷も減らせるという点で注目されます。ただし、研究者の視点から見ると、単に卵を置き換えるだけでなく、「生産過程や輸送、加工における環境負荷」も考慮する必要があります。消費者としては、美味しさや栄養価と環境配慮のバランスが課題になるでしょう。

2.日本での課題と気になるポイント
・生卵文化とのギャップ
卵かけご飯やすき焼きのように、生卵をそのまま食べる文化がある日本では、代替品が全てのシーンで受け入れられるわけではありません。
・味・食感へのこだわり
家庭での調理では、卵の風味や食感が大切です。代替品がどれだけ「卵らしい」味や食感を再現できるかは、普及の鍵になります。
・環境・消費者の視点の両立
卵代替品は環境に優しいというイメージがありますが、製造工程や輸送にかかるエネルギー・資源を考えると、必ずしも一概に「環境負荷ゼロ」ではありません。消費者も、家庭での調理や食品選びの際に、味・栄養・安全・環境配慮のバランスを意識する必要があります。

3.まとめ
MealaのGroundbaker™は、単一原料で卵の機能を再現できる画期的な卵代替品です。給食や家庭の料理、菓子作りにおけるアレルギー対応や価格・供給安定化、さらには環境への配慮という面で、日本の食品業界や家庭に新しい選択肢を提供してくれます。

一方で、日本の生卵文化や味のこだわり、環境への配慮とのバランスという課題もあります。家庭の食卓での導入はまだ限定的かもしれませんが、健康・安全・環境を意識する家庭や食品メーカーにとって、無視できないトレンドとなることは間違いありません。

今後、日本の家庭でも卵代替品を上手に取り入れる工夫が広がれば、より多様で安心な食の選択肢が増えていくでしょう。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Yoshiharu Takahashi(高橋)と申します。都内特許事務所にて弁理士として12年以上活動し、特許出願、FTO調査、無効資料調査など、これまでに累計2,000件以上の案件を担当してきました。主に化学・バイオ分野を中心に、国内外の知財戦略を幅広くサポートしています。

弁理士業務のかたわら、「食品×知財×経済」の交差点から現場の知見を発信しています。記事に関するご質問や、国内外特許に関するご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。特許のご相談については、フォーム送信後、所属事務所より折り返しご連絡いたします。

目次